住宅の水没リスクがある地域への人口流入が止まりません。河川の洪水で住宅1階部分がすべて水につかる可能性がある市街化区域の人口は、過去20年間で約60万人増加したようです。市街化区域は道路や交通機関などのインフラ整備が進んでおり、住宅の立地を促す「居住誘導区域」に指定する市町村も多くあります。しかし、このような実態を踏まえ、不動産購入時に注意したい情報をお届けしたいと思います。
■ 浸水する恐れのある地域に約790万人が住んでいる?!
命の危険が高まる3メートル以上(住宅2階部分)の浸水が想定される区域は非常に多く、全国約790万人が暮らしているようです。特に東京都江戸川区や足立区、埼玉県川口市といった地域(水没危険地域)での人口増加が目立っているようです。近年は豪雨が頻発しており、危険な地域は居住誘導区域から外すなどの対応も必要となっていますが、都市開発が進む自治体からは「現実的ではない」との声も上がっているようです。人口を増やしたいと思う自治体と、本来事前リスクを周知させる事の想いの葛藤が生まれています。被害を防ぐには建物の対策や高所への避難誘導の徹底といった取り組みが欠かせません。しかし、避難路や防災公園の整備などに関わる「防災指針」を公表している自治体は限定的であり、不動産購入前には生活圏に潜む災害リスクを把握する為の『ハザードマップ』の確認を徹底してもらいたいと思います。
■大規模水害の脅威が増している現在、不動産購入前に注意すべき事は?!
異常気象が頻発し、台風や集中豪雨の被害が後を絶ちません。どうやら日本経済新聞の調べでは3メートル以上(住宅2階部分)が浸水する恐れがある市街地には約790万人が暮らし、その数は20年で60万人増えたようです。
浸水予想エリアとして千葉県流山市が上げられます。流山しは子育て環境が充実したベッドタウンとして若い世代に人気があるエリアです。しかし、流山市が優先して開発を進める「市街化区域」の約2割を3メートル以上浸水する恐れのある洪水浸水想定区域が占めています。区域内の住民は約4万人。域外にある避難所の収容可能人数は2万3千人にとどまり、水害の発生時には多くの人が行き場を失う可能性があるそうです。その為、不動産購入前にはこのような自治体であることを、きちんと認識する必要があります。
流山市は商業施設やホームセンターなどと協定を結び、立体駐車場などの高い場所に一時避難できる体制づくりを急いでいるようですが、水害リスクの認知度は十分とはいえないようです。
流山市は自治会と協力し、啓発用冊子「水害から『命』を守るためにあなたへ伝えたいこと」を住民に配布するなど対策を進めているようです。ぜひ、不動産購入前には流山市の啓発用冊子をご覧いただきたいと思います。
<水害から『命』を守るためにあなたへ伝えたいことの冊子>
https://www.city.nagareyama.chiba.jp/life/1003604/1003691/1003692/1038966.html
■行政も市民も生活の充実と災害リスクのはざまで葛藤を続けている!
埼玉県川越市も人口流入が続く都市の一つです。荒川や入間川に沿って低地が広がり、市街地にある浸水想定区域(3メートル以上)には約1万5千人の住民が暮らしています。人口は過去20年で約25%増えています。JR川越線南古谷駅付近はスーパーや病院もあって暮らしやすいエリアとして注目されており、子供が増えて小学校も増築されたようです。しかし、同駅周辺で想定される最大浸水深は5~10メートル。住宅3~4階が浸水する危険がありますが、地域の一部は居住誘導区域に指定されたままとなっています。
岡山県倉敷市、真備地区の鉄道高架橋には西日本豪雨の浸水深5.2メートルを示す線が刻まれているようです。2018年の西日本豪雨で災害関連死を含め12人が死亡した岡山県総社市、周辺地域は「100~200年に1度」の大雨の浸水想定が5メートルを超えていますが、豪雨後に家の購入を決めた人もいるようです。水害リスクを知った上で子供の小学校入学を機に育児しやすい環境を求めた結果での判断のようですが、今後の水災リスクは下がる事は無いかと思います。行政も市民も生活の充実と災害リスクのはざまで葛藤を続けているようです。
あまり水害リスク(水没危険地域)の事ばかり考えては住宅購入が出来ないのも本音です。ぜひ、水害リスク(水没危険地域)を不動産購入後に把握するのでは無く、購入前に把握するようにしていただきたいと思います。
今後の参考にお役立て下さい。
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