親から二世帯住宅を建てて一緒に住みたいと持ちかけられる事があります。その場合、どのような点に注意すればいいのかを解説したいと思います。例えば、親が土地を提供し、家屋の資金は親子で負担する予定の場合などです。住宅ローンをどのように組めばいいのか、相続などにどのような影響が発生する事が懸念されるか等を解説したいと思います。
近年、都市部を中心に住宅価格の上昇が続いております。単独世帯だけでは住宅に対する負担が大きい為、二世帯住宅に関心が高まっています。親子が協力して住宅購入が出来れば、単独で買う場合に比べて資金面で余裕が出てきます。今回の例のように親の持つ土地を活用すれば、費用をさらに抑えることも可能となります。
〇二世帯住宅の資金負担は親子で協力する傾向がある
二世帯住宅の資金負担について「親世帯が多め」「半分ずつくらい」「子世帯が多め」と答えた人の割合は約45%となり、「ほぼ親世帯」は約33%、「ほぼ子世帯」は約22%となったデータもあるようです。
親子で資金を出す場合は親と子のどちらも住宅ローンを組む例が多いようです。単独で借りるより高額の物件に届きやすくなったり、住宅ローンの組み方によっては親子それぞれの家計の負担を軽くしたりすることができるからです。
〇二世帯住宅の為の住宅ローンは「親子ペアローン」がオススメ?!
二世帯住宅を購入する際の住宅ローンにどんな選択肢があるのかを解説させていただきます。まず把握しておいて欲しい事として、「親子ペアローン」という住宅ローン商品があります。親と子が1本ずつ契約し、それぞれが返済するというものです。借入額と借入期間はそれぞれの収入や年齢などに応じて決まります。住宅ローン控除や団体信用生命保険(団信)もそれぞれが利用できるといった利点があります。
しかし、住宅ローンを契約できる年齢は65歳や70歳未満などとする金融機関が一般的です。住宅ローン親の年齢が50代など比較的若い場合に10年返済で組み、子は35年で契約するのが一案です。年金生活に入ってからも返済が続くと老後の生活が苦しくなるため、親は何歳まで働くかを踏まえて借入額・期間を考慮することが大切です。
〇二世帯住宅ローンに「親子リレーローン」という選択もあります!
親がある程度高齢でも活用できるのが、親子で1本を契約する「親子リレーローン」という住宅ローン商品もあります。親がまず一定期間返済し、子が引き継いで完済するというものです。借入期間は子の年齢を基準に決めるため、親が70歳以上でも子が30代なら35年など長期で借りられるというものです。元気で働いているうちは親が返済し、子の収入が年齢とともに増えてくるタイミングで引き継ぐと、親子の家計の負担が軽減されやすいという住宅ローン商品です。
親子リレーローンは主に住宅金融支援機構の全期間固定型住宅ローン「フラット35」で取り扱われています。フラット35で親子リレーローンを利用する際、団信に加入できるのはどちらか一人。子が加入している場合に子が死亡すると返済は免除されるが、親が死亡しても子は全額を返す必要があります。万一の際に対応できるように資金計画を立てることが欠かせない住宅ローン商品となります。
〇二世帯住宅の注意点について(登記方法、相続方法について)
親子で資金を出す際は住宅の登記に十分配慮する必要があります。二世帯住宅の登記方法は主に単独登記、共有登記、区分登記の3つです。単独登記は二世帯住宅を1戸の住宅として親または子が単独で所有し、名義も所有者単独にします。共有登記は親子が共同で所有し、名義は親と子にします。区分登記は二世帯住宅を2戸の住宅として親子が個別に所有し、親子それぞれの単独名義となります。
いずれの方法でも重要なのが、持ち分の比率を実際の資金負担の比率と同じにすること。例えば親が3000万円、子が1000万円を出した場合は親の持ち分が4分の3、子が4分の1となります。
子の単独登記にして親の持ち分がゼロだったり、共有登記で子と親の持ち分が2分の1ずつだったりすると親から子に贈与があったとみなされ、贈与税が発生する可能性があります。相続税対策でも注意が必要となり、親が死亡し、二世帯住宅に住む子が親の持ち分を相続する場合、単独登記や共有登記では「小規模宅地等の特例」の対象となります。土地の評価額を最大80%減額できます。
一方、区分登記をしていると子は特例を利用できません。同じ建物に住んでいても登記上は2戸の建物という扱いになり、同居の要件を満たしません。地価の高い都市部に自宅を持つなど相続税が発生する可能性が高い人は、区分登記を避けた方が良いようです。いずれにせよ、住宅購入をする際には二世帯住宅の場合でも登記方法、相続を考慮していただく必要があります。
今後の参考にお役立て下さい。
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