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■所有者不明土地の対策が本格的に動き出しました!
政府が所有者不明土地対策と位置付ける3本柱が4月から本格的に動き出しました。相続人が財産の分け方を話し合う遺産分割協議に10年の期間を設ける改正民法が1日に施行されたのに続き、不要な土地を国が引き取る「相続土地国庫帰属制度」が始動しています。土地・建物の登記を義務付ける改正不動産登記法の施行も2024年4月に迫っています。遺産分けに大きな影響を与えるため、関連法のポイントを押さえておいて欲しいと思います。
親の家や土地を相続するのか、それとも処分するのかなどは早めに決めたほうが良さそうです。決めないままでいると所有者不明土地対策の実施を受けて遺産の分け方で不利になったり、思わぬ費用負担を迫られたりしかねません。
所有者不明土地とは不動産登記簿をみても誰が持ち主なのか分からない土地のことであり、被相続人が亡くなって相続が発生したとき相続人が名義変更をせず、長期にわたって放置することで発生します。学識経験者などで構成する「所有者不明土地問題研究会」の推計によると、全国の所有者不明土地の面積は2016年時点で410万ヘクタールと九州の面積を上回っています。2040年には720万ヘクタールになる見通しとなり、かなりの面積を占める予想が立っています。都市再開発や公共事業で土地の買収に時間がかかったり、廃棄物の不法投棄が発生したりするといった問題が深刻になっているため、政府は民法改正などに踏み切りました。
■遺産分割協議に10年の期間を設定
対策の第1の柱は遺産分割協議に10年の期間を設定することとなり、相続開始から10年過ぎても分割協議がまとまらなければ、原則として法定相続割合で分割する流れとなります。法定相続割合は民法で定めた財産の分け方で、例えば相続人が配偶者と子1人なら2分の1ずつとなります。配偶者と子2人なら配偶者が2分の1、子は4分の1ずつとなります。
亡くなった人の遺言がない場合、相続人は話し合いで「誰が、どの財産を、どれだけ引き継ぐか」を決めます。財産は法定相続分で分けてもいいし、相続人全員が合意すれば法定相続分とは異なる分け方でも構いません。ただし分割協議は分け方を巡って相続人同士が対立し、まとまらないことが少なくない為、専門家に依頼をするケースもあります。勿論、自分達だけで遺産分割協議書を作成し、相続人同士でまとめる事も出来ます。
特に難航しやすいのが相続人のなかに故人から生前に財産を贈与されていたり、介護などで故人に多大な貢献をしたりした人がいるケースです。それぞれ特別受益と寄与分といい、分割協議がもめる要因になりやすく、遺産を単純に法定相続割合で分けると不公平になりかねません。
特別受益や寄与分を踏まえて決めるのがより公平な分け方になりますが、生前贈与の内容の把握や寄与分の認定と金額の算定に手間取り、協議は長引くことが多いようです。相続開始から10年過ぎた場合は特別受益や寄与分を認めず、法定相続割合で分けるようにすることで、政府は所有者不明土地の発生に一定の歯止めがかかるとみています。半面、相続人は希望しなくても法定相続分で分けることになります。
■相続した土地・建物の登記を義務化すること
第2の柱は相続した土地・建物の登記を義務化することです。施行後は相続発生から3年以内に所有名義を故人から相続人に変更する必要があります。既に相続が発生している場合は2027年3月末が期限となります。いずれも登記しなければ、10万円以下の過料になる場合がある為、注意が必要です。
現在は任意で、変更手続きの期限もないため登記をしないケースが目立っており、登録免許税や司法書士への報酬といった登記費用の負担をしたくないとして怠る場合もあり、所有者不明土地の一因となっています。
協議が難航するなどして登記期限に間に合わない場合は、同時に新設する相続人申告登記制度を利用する方法があり、相続人の住所、氏名などを申し出れば、3年が過ぎても過料の対象になりません。登録免許税も非課税です。
法定相続割合での分割を避けたいなら、10年の期限内に相続人同士で折り合う必要があります。しかし、期限内に家庭裁判所に調停・審判の申し立てをすれば、10年経過後も法定相続分以外の分割は可能となります。また期限が過ぎた段階で相続人同士が協議を進めて全員が合意すれば、特別受益などを考慮した分け方にすることができます。
■不要な土地を国が引き取る「相続土地国庫帰属制度」が始動していますが・・・
相続する土地が売ったり貸したりすることが難しかったり、相続人の誰も引き継ぐ意思がなかったりする場合は、第3の柱である相続土地国庫帰属制度の利用が選択肢です。引き取ってもらう土地は多くの条件を満たす必要があり、ハードルは高いようですが・・・。
条件は利用申請時と法務局による審査時の2段階があり、それぞれ5つあります。まず申請時は建物があると申請を受け付けてもらえない為、解体・撤去する必要があり、費用は自己負担となります。担保権が設定されていたり、隣地との境界が不明確で争いがあったりする場合も却下されます。審査段階では土地に庭木を含む樹木や石灯籠などの工作物があったり、除去が必要なコンクリート片などが埋まっていたりすると認められません。地割れや陥没がある場合も承認しないようです。
引き取りが決まったら、申請者は管理費相当額として一定の負担金を納めます。具体的には宅地、農地、森林といった土地の種類や面積ごとに決める。例えば都市計画法の市街化区域にある宅地で面積が「100平方メートル超200平方メートル以下」なら「面積×2450円+30万3000円」で算出する。市街化区域外にある宅地の負担金は面積にかかわらず一律20万円となっています。
ぜひ、今後の参考にお役立て下さい。
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