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前回は「境界」についての解説を行わせていただきました。今回は、専門家に境界を調べてもらうためにはどれくらいの費用が掛かるのかについて、解説を行いたいと思います。
勿論、不動産購入時に、専門家に境界を調べてもらう事は必須ではありません。もし、不動産購入前に、隣地の協力が得られない場合や専門家の確認が必要な場合には、今回の記事を参考にしていただければ幸いです。
ちなみに、境界を確認しないまま土地が売買されトラブルになった事例は珍しくないようです。また、注文住宅を建てる為、土地購入後、建築がスタートしてから土地境界のトラブルで、何度も設計変更を余儀なくされた。せっかく家を建てたのに裁判が落ち着くまで何年も入居できなかったりという事例もあるようです。
■不動産購入前には登記事項証明書(登記簿謄本)や地積測量図を確認する!
法務局が管理する登記事項証明書(登記簿謄本)や地積測量図を確認することは、最も手軽に筆界(境界)を調べる方法です。登記事項証明書には、土地の所有者、抵当権、所在、地番、地目、土地の面積が記載されています。また、地積測量図が備え付けられている場合は、その土地の寸法、位置関係、土地の面積の算定根拠なども記載されています。
登記事項証明書や地積測量図は個人でもインターネットで取得可能です。ただし、住所(所在)と地番が異なるケースなどもあり、調べるのに多少コツが要る場合もあります。不動産事業者を介して、不動産取引をする際には、担当スタッフにご相談をしていただければと思います。そして、それだけでは境界を明確に知るには不十分かもしれません。自身で調べるのが難しい場合は、土地家屋調査士や法務局に相談する流れとなります。
■ 土地の境界を調べる方法とかかる費用は?
不動産購入前に、土地の境界を調べる為には、不動産会社経由で、土地家屋調査士に依頼する流れとなるのが一般的です。普段、土地家屋調査士の方とのつながりは一般の方は無い為、不動産会社経由での対応が一般的です。そもそも土地家屋調査士は、土地の筆界を扱う専門家です。土地や家屋に関する調査、測量を行うほか、登記申請手続きなどを代理で行うことができる唯一の国家資格者です。調査費用については、依頼内容や地域によって大きな幅があるようです。日本土地家屋調査士会連合会が、全国の土地家屋調査士を対象に行ったアンケートに基づき業務報酬統計資料を発表しています。費用相場を知る際の参考にしてみていただけばと思います。
https://www.chosashi.or.jp/association/disclosure/reward/
■ 土地家屋調査士に依頼した際の手続きや流れは?
次に、土地家屋調査士に調査を依頼した際のおおまかな手続きや流れについて説明します。
1. 見積もり・依頼
土地家屋調査士に依頼をします。事前に調査内容について相談し、見積もりを取りましょう。不動産購入時の場合は、不動産会社等を介して土地家屋調査士に依頼するケースが多いです。
2.<道路の筆界確認のケース>市区町村に対して申請
道路の筆界確認を行う場合は市区町村に調査の申請を出します。市区町村の担当者は調査・確認に立ち会います。
3.<民有地同士の筆界確認のケース>近隣の人に挨拶、立ち会い依頼
民有地同士の筆界を確認するために、土地家屋調査士が近隣の人に挨拶と立ち会い依頼を行います。その際、できるだけスムーズに協力してもらえるように、依頼者本人からも近隣の人々に調査の背景等について、説明を行っていただくケースもあります。
4. 測量、図面の収集と照合
測量を開始します。並行して土地に関連する図面を収集し、情報を照合していきます。その土地に昔から住んでいる人が古い図面を持っているケースもあり、そういった図面も借用して調査を行っていきます。
5.<道路の筆界確認のケース>市区町村と立ち会い・確認
道路との筆界に関しては、市区町村の職員の立ち会いのもと確認を行います。後日、市区町村に対して明らかになった筆界に関する書面を提出します。
6.<民有地同士の筆界確認のケース>近隣住民と立ち会い・確認
民有地の筆界に関しては、土地の所有者など近隣住民と立ち会いのもと確認を行います。立ち会った全員が筆界を認知することが重要です。
7. 図面、確認書、標識の作成
立ち会った全員が納得したら、図面を添付した境界確認書を取り交わします。また、筆界(境界)の目印となる標識がない場合は新たに標識を設けます。
8. 登記申請
土地が明確になり、認識していた境界と実際の境界(筆界)が違った場合、新たに登記申請を行うケースが出てきます。土地の面積が変わることで固定資産税の金額にも影響が発生し、正しい情報を登記事項証明書に残す流れとなります。依頼者本人が申請を行うこともできますが、地積測量図の作成などが必要となるため、土地家屋調査士に代理での申請依頼をするのが一般的です。その後、登記簿と図面の情報が一致する事となります。
■ 専門家に依頼をしても「不成立」となる場合もある!
筆界確認をしてもお互いに納得せず不成立になってしまう場合があります。または、確認に応じない住人もいます。そういった場合は裁判に発展することもありますが、その前段階として筆界特定制度というものを利用できます。筆界特定制度は法務局が筆界を特定し、特定されれば登記までは行えるというものです。もしもこの結果に対して不服であれば訴訟を起こすことができます。筆界特定制度は裁判による境界確定ほどの効力は持たないものの、この制度があることで境界確定の訴訟の数が以前よりも減った経緯があります。
いずれにせよ、不動産購入時にはこの「筆界(境界)」把握は非常に重要です。
ぜひ、今後の参考にお役立て下さい。
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